村長のあしあと
村長からのメッセージ
2025(令和7年度)村政執行方針
Ⅰ はじめに
令和7年第1回定例会の開会に当たり、令和7年度の村政執行方針を述べさせていただきます。
令和7年度は私としても「安心して暮らせる村づくり」を目標にした、村長就任2期目の折り返しの年であります。これまで議会議員の皆様をはじめ、多くの村民の皆様にご理解を頂きながら検討・準備を進めてきた各種施策が動き出す重要な年度であると認識しております。
このため、村政運営に臨む基本姿勢や重点施策の展開に関わるテーマやポイントは昨年度から大きく変えることなく、引き続き堅実ながらも挑戦する村政運営に努めてまいりたいと考えています。
また、村のあるべき姿を示す「第5期赤井川村総合計画基本計画」と「第3期赤井川村創生総合戦略」の令和8年度改定作業を進める重要な年度でもあり、現在の総合計画や総合戦略の分析評価を踏まえつつ進められている、策定審議会の皆様の真剣な熟議に期待し、持続可能な赤井川村とする計画を策定したいと考えております。
いずれにしても、公共を支えるのは役場や村民のみならず、民間企業や村に所縁のある村外の方々との協働も重要であるとの考えは変わっておらず、引き続き人と自然の調和を保ちながら、持続可能な開発計画などに取り組む企業や活力を持った人材との連携を大事にし、村内経済の好転を目指しつつ、更なる関係人口の増加対策に取り組みたいと考えています。
Ⅱ 村政運営に臨む基本姿勢
令和7年度の村政を運営する基本姿勢としては、国費・道費事業として計画的に進めている各種事業は、その事業効果が適切に反映されるように取り組みます。
加えて、独自課題の解決や新たな試みとして議員の皆様と協議・検討を進めてきた事業などについても、その事業効果が広く村民の福祉向上や村内経済に活力を生むよう次の三つの視点を持って優先順位を見極めながら引き続き着実に取り進めたいと考えています。
1 村内経済の好循環を見据えた村づくり
一つ目は、「村内経済の好循環を見据えた村づくり」です。
働く世代の減少は、村の元気と活力を低下させる大きな要因の一つであり、基幹産業である農業と観光・リゾート産業に元気がなければ、働く世代の定着は見込めず、村全体に活力が感じられなくなってしまいます。
このため、農業分野においては「農業振興計画」を基本にしつつ、優良農地の効果的活用を視野に持続可能な農業振興に取り組みます。
観光分野においては、観光地域づくり法人を中心とした活動やキロロ、道の駅「あかいがわ」などの活動を側面的に支援し、食を通じた観光やふるさと納税などで築いた関係人口(交流人口)との継続的な関係構築を強化しつつ、北後志エリア等と連携した広域観光等の取り組みを推進します。
また、地熱(地中熱、地熱等)利用を柱とした「赤井川村エネルギービジョン」や「ゼロカーボンビレッジakaigawa推進戦略」に基づく、再生可能エネルギーを活用する各事業を計画的に進めるとともに、国の地方創生推進事業等を活用し、新たな経済活動を試みる人材の活用や育成に取り組み、村内経済の好循環を見据えた村づくりを推進します。
2 安心して暮らせる生活環境の確保
二つ目は、「安心して暮らせる生活環境の確保」です。
村民一人ひとりが生涯にわたって心身ともにいきいきと暮らせるようにするには、保健・福祉・医療・介護サービスの充実や域内交通の確保、さらには子育て支援などを充実させることが、生きがいとなる日常を手にするためにも必要なことだと考えは変わっておりません。
しかし、本村の限られた財源と人的資源では、全てを充実させ継続することはとても困難なことです。
加えて、余市、小樽を生活圏とする多くの村民にとって、幹線交通や域内交通の安定確保は村で安心して暮らすために重要な条件の一つです。
このため、保健・福祉・医療・介護に関する課題については、村と社会福祉協議会や地域包括支援センター及び赤井川診療所などの関係機関が引き続き連携を密にし、分野別に課題と役割分担を明確にしながら、地域の方々と協働関係を築き、課題解決が円滑に進むよう取り組みます。
特に子育て支援として、新たに取り組む「こども第三の居場所」づくりや「こども家庭センター」運営に向けた準備を着実に進めます。
3 公共インフラなど公共施設の計画的整備
三つ目は「公共インフラなど公共施設の計画的整備」です。
道路・河川・橋梁をはじめ、上下水道や公営住宅などの公共施設は、これまでも住民生活の基盤であることから計画的な整備を心がけ、老朽化した施設も財源を考慮しつつ、各種長寿命化計画などを策定し、維持補修を行ってきました。
特に多くの経費を要する庁舎改修や小中学校などの大規模改修工事については、国費・道費補助や財政措置率が高い有利な起債を活用するなど、財源確保を模索しながら計画実現に向け進めます。
加えて、本年度も継続性、緊急性のあるものや、防災対策など優先度の高い施設の整備や補修は優先順位を考慮しながら重点的に進めます。
Ⅲ 重点施策の展開
1 村内経済の好循環を見据えた地域活力の醸成
①農業の振興
基幹産業である農業の振興は、これまでも村の重点施策として様々な取り組みを進めてきました。なかでも土づくり、ビニールハウスを利用した作物栽培の振興、新規就農者対策、優良農地の利活用対策などは重点的に取り組んできたところです。近年は有害鳥獣による農作物被害の対策もその比重が大きくなっております。ただ、農業を取り巻く課題は多様化しており、スマート農業や外国人労働力の活用など、新たな営農支援への課題も生まれており、これらに対応する取り組みも必要とされているところです。
このため「農業振興計画」に沿って、次の事項について重点的に取り組みます。
・道営農業農村整備事業による農地基盤整備事業の推進
・落合ダム及び関連施設の適切運用と農業用水の安定供給
・農業振興対策事業の重点的支援策の検討
・耕作放棄地の解消促進
・スマート農業の利用促進
・新規就農希望者の就農支援
・有害鳥獣駆除対策の効果的実施と人材育成
②林業の振興
村有林を主体に、民有林においても多面的機能を持つ森林資源の保全と活用を計画的に進めており、引き続き赤井川村森林整備計画に沿った事業を進めます。
特に村有林の伐期齢に達した立木の活用については、北海道森林管理局石狩森林管理署との間で締結した「第1期赤井川地域森林整備推進協定」に基づき、国・道の助言や協力を仰ぎながら、森林財産の適正管理とカーボンニュートラルの両輪を視野に計画的に進めます。
・民(村)国連携による森林資源の活用促進・整備
・森林環境譲与税の「活用基本方針」に基づく支援
・冷水峠展望所の計画的整備と協働による景観づくり活動
・木材資源の地域内活用の推進
③商工業の振興
村内で事業展開する事業者は、小規模ながら商品開発や新規事業に挑戦し、業績を伸ばしている先例も有り、村の産業の一翼を担っています。
これらの事業者は、商工会へ結集し経営の安定化を目指していることから、引き続き商工会のリーダーシップに期待し支援を行います。
・商工会運営の安定化を図るための支援
・経営環境改善や商品開発事業取り組みへの支援
・国の地方創生事業を活用した人材活用、育成による地域プレーヤーごとの推進
④観光の振興
村の観光は、キロロを核としたリゾート観光と道の駅や温泉を核としたドライブ観光に分けられますが、いずれも新鮮で美味しい農畜産物を活用した「食」がキーワードになります。
このため、観光地域づくり法人赤井川村国際リゾート推進協会(DMO)を核とした地域内が連携する観光振興が促進されるよう、引き続き支援します。
また、ふるさと納税のPR活動も含め、食と観光が有機的に結びつくよう取り組みを進めます。
・道の駅「あかいがわ」を柱に地場産品の販売促進支援
・「まるっとカルデラ農村フェス」の定着と自走可能な(自走を目指した)支援
・ふるさと納税獲得に向けた取り組みの推進
⑤再生可能エネルギー関連事業への展開
「赤井川村エネルギービジョン」と「ゼロカーボンビレッジakaigawa推進戦略」に基づき、温泉熱の活用や地熱(地中熱、地熱等)太陽光など持続可能な再生可能エネルギーを活用した事業を促進します。特に、「ゼロカーボンビレッジakaigawa推進戦略」の具現化として、役場庁舎のエネルギー転換や区会管理街灯のLED化支援によるゼロカーボンを推進します。
また、民間主体で進められる各種事業については、国の法令遵守を基本とし、村の景観条例案や景観計画案に沿った事業者対応を徹底すると共に、開発と保全のバランスをより一層心がけながら、その対応に当たります。
・再生可能エネルギーの活用と省エネ化による役場庁舎のZEB改修
・「ゼロカーボンビレッジakaigawa」推進戦略実現に向けた施策の推進
・民間事業者による地熱発電、水力発電計画への側面的支援
2 村民と協働する行政の展開
全ての村民が心身ともに健康でいきいきと生活できるよう、保健・福祉・医療・介護サービス、子育て支援などの事業を各計画に基づき実施します。
消防・防災については、北後志消防組合赤井川支署との連携を強化しており、消防車両の更新や広域通信業務体制の確立にも取り組み、引き続き緊急時の迅速な対応に努めます。
また、赤井川診療所との連携を重視し、村民が健康に暮らせる体制確保に努めます。
なお、周産期及び子育て支援の新たな施策を展開するとともに、次の重点事項については村民の皆様との積極的な協働を必要とする施策もあることから、各事業については引き続き丁寧な説明を第一に進めます。
①保健・医療
・健康教育、保健指導の充実及び各種健診受診率向上への取り組み
・赤井川診療所医療機器更新による機能強化
・帯状疱疹ワクチン等予防接種支援の拡充
・保健・医療・福祉・介護の重層的連携の構築
②子育て支援
・出産・子育てに関する新たな支援事業の実施
・こども家庭センターの設置による妊娠期からの母子保健・児童福祉の伴走型支援体制の構築
・子ども第三の居場所開設に向けた人材育成等の実施
・へき地保育所保育サービスの向上及びスタッフの資質向上への取り組み
・母子保健、児童福祉に係る各種施策情報提供の強化
③高齢者支援(生きがい対策・介護)
・高齢者総合相談窓口の機能強化と関係機関の連携強化
・介護保険サービス及び自立支援サービスの適正な運営
・悠楽学園大学等高齢者の社会参加の促進
・高齢者の各種生活支援事業の充実
・高齢者の保健事業と介護予防等の一体的な実施の推進
④障がい者支援
・北後志自立支援協議会等を活用した相談支援体制の充実
・障がい者福祉サービスの提供体制の充実
⑤地域福祉
・社会福祉協議会活動の支援強化
・生活支援体制整備事業の強化
・住民主体の福祉活動に係る側面的支援の強化
⑥社会保障
・年金制度、国民健康保険、後期高齢者医療保険事業、福祉医療事務の円滑化
⑦消防・救急
・関係機関及び事業者との災害時連携対応の強化
・救急救命体制の段階的運用
・消防指令業務体制の共同化
⑧移住定住対策
・移住定住対策の新たな検討
⑨防災対策
・近隣町村と連携した防災対応力の強化
・学校及び地域団体と連携した防災教育の実施
⑩地域公共交通対策
・「むらバス」の安全運行と利用環境向上策の検討
・地域内交通の利用促進の展開
・域内交通(枝線・交通空白地有償運送)おでかけアシストサービス、通院送迎サービスの充実
3 公共インフラなど公共施設の計画的整備
①村道整備
村道整備については、幹線道路及び生活道路を中心に国土強靱化計画に基づく防災的視点も持ちながら整備を進めます。
また、路面の損傷などが激しい路線については、優先順位を定め、日常の通行に支障が出ないよう補修に努めます。
・北丸山線道路改良工事
・村道舗装補修工事
②河川整備
河川整備については、異常気象による防災対応が重要となることから、河道内に堆積した土砂や立木の撤去を計画的に行います。
・緊急自然災害防止対策事業債を活用した護岸改修工事
・緊急浚渫推進事業債を活用した河川整備工事
③橋梁整備
老朽化した橋梁については、「橋梁長寿命化計画」を基本にしつつ、改修整備の緊急性の高い橋梁選定し整備に努めます。
・共栄東橋架替補修工事
④簡易水道の整備
安全な飲料水を供給するため、適正な管理を継続すると共に、効率的な維持管理の検討を進めます。
また、老朽化した施設については計画的に更新を行うと共に緊急時の防災対策にも取り組みます。
・量水器取替事業
・水道経営戦略作成業務
・公営企業会計指導業務
・都浄水場改修工事
⑤下水道の整備
施設整備後20年以上経過していることから、老朽化した機器類については「ストックマネジメント実施方針」を策定し更新を進めています。また、下水道計画区域外における合併浄化槽の普及啓発も継続して行っており、設置者への支援も引き続き行います。
・公営企業会計指導業務
・下水道事業計画変更策定業務
・下水道経営戦略作成業務
・マンホールポンプ所建設工事
・アクアクリーンセンター水処理整備事業(更新)
⑥公営住宅などの整備
老朽化した公営住宅については、「公営住宅長寿命化計画」に基づき建て替えやリフォームを進め、活用が出来なくなった村営・村有住宅は取り壊しを引き続き進めます。
・村営中央団地個別改善内部改修工事
・村営中央団地個別改善共用部改修工事
・村営桜団地個別改善改修工事
⑦その他公共施設の整備
各施設の管理は、「公共施設等総合管理計画」に基づき延命化を図りながら村民の利用に支障が出ないよう計画的な維持補修に努めます。
⑧生活廃棄物及びし尿の処理
可燃ごみ及び資源ゴミについては、「北しりべし廃棄物処理広域連合」の処理施設、不燃物については、村の一般廃棄物処理場で適正に処理をしておりますが、今後もゴミの減量化と分別の徹底は必要であると考えています。
なお、広域連合においては、ごみ焼却処理施設基幹的設備改良工事(令和5~8年度)を継続しております。
また、北後志衛生施設組合のし尿処理施設については新たな施設が令和7年4月から運用開始予定です。
4 財政安定化への取り組み
村財政の安定化を目指すには、国費・道費の助成制度の活用はもとより、村独自の新たな取り組みや制度見直しによる自主財源の確保をはじめ、民間企業との連携を今後も積極的に展開することが必要であると考えています。
ただ、令和7年度から令和8年度にかけては、庁舎改修や防災無線の一部改修、学校の改修、都小学校跡地利用に関連する事業や子ども第三の居場所づくり施設整備をはじめ多くの新規事業も計画されていることから、なお一層の財源確保が必要となっています。
このため、令和8年度を目標に設定した「財政健全化アクションプラン」の検討・協議・実施を可能な範囲で進めると共に、令和8年度以降の財政健全化を見据えた検討も急務であると考えています。
以上の考え方を基本に置き、令和7年度の各会計の予算を次のとおり提案させて頂きます。
■一般会計 3,906,000千円
■後期高齢者医療特別会計 21,232千円
■国民健康保険特別会計 49,096千円
■簡易水道事業会計 212,241千円
■下水道事業会計 216,914千円
◆総 計 4,405,483千円
Ⅳ むすび
少子高齢化や過疎化の進行など令和7年度においても厳しい村政運営になるとは思われますが、インバウンド需要の回復や村内経済の活性化など、新たなビジネス展開も生まれている状況をチャンスと捉え、赤井川村に住んでいて良かったと多くの村民の皆様に思って貰えるよう、職員の知恵と力も借りながら村政を進めたいと考えていますので、村議会議員の皆様と住民の皆様、そして関係機関の皆様にはより一層のご理解とご協力を心からお願いを申し上げまして、令和7年度の村政執行方針といたします。